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| 不確かさについて |
不確かさという用語は、計測関係ではかなり一般的に用いられています。従来、計測結果がどれだけ信頼できるかについては、精度や誤差という用語を用いてきました。誤差の定義は、以下のとおりです。
誤差=測定値−真値
したがって、真値がわかっていなければ誤差は求まりません。しかし、真値は厳密にはわかりませんから、誤差も厳密にはわからないということになってしまいます。標準器や標準物質の示す値は、あくまで公称値であり、誤差を含むものですから、真値ではありません。また、精度という用語も技術分野によって定義が異なりますし、どのようにして求めたのか、その評価方法が明確でないことがよくあります。
そこで、計測結果の信頼性を統一的に評価する方法として、BIPM、IEC、IFCC、ISO、IUPAC、IUPAP、OIMLの6つの国際機関が連名で、「計測に関する不確かさの表現ガイド」(略称GUM)と、「国際計量基本用語」(略称VIM)を著しました。
VIMでは、“不確かさ(Uncertainty)”は、「測定の結果に付随した,合理的に測定量に結びつけられ得る値のばらつきを特徴づけるパラメータ」と定義されています。
不確かさは、測定結果をばらつかせる要因をすべて列挙し、それらを統計的に合成して求めます。したがって、不確かさに寄与する要因にどのようなものが考えられるかという技術的な知識、及び統計処理に関する知識が必要です。
GUMでは、不確かの要因として、以下の10項目を例示しています。 |
| 1. |
測定量の不完全な定義 |
| 2. |
測定量の定義が完全には実現されないこと |
| 3. |
代表性のよくないサンプリング |
| 4. |
環境条件の効果が充分に知られていない、又は環境条件の測定が完全でないこと |
| 5. |
アナログ計器の読み取りにおける人によるかたより |
| 6. |
機器の分解能又は識別限界 |
| 7. |
計量標準及び標準物質のばらつき |
| 8. |
測定結果を得るために用いる定数のばらつき |
| 9. |
測定方法に組み込まれる近似や仮定 |
| 10. |
測定の繰り返しによるばらつき |
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これら不確かさの求め方には、実験的な方法によるもの(Aタイプ)とそれ以外に方法(Bタイプ)に分かれます。誤差論では、偶然誤差と系統誤差という分類をしていますが、不確かさのAタイプとBタイプは、これらの誤差分類とは異なります。
Aタイプでは、一連の観測値から求めた標準偏差を不確かさとします。実験的な方法ではなく、技術的な知識や文献情報を用いてばらつきを求めるのがBタイプです。Bタイプでは、各種の確率分布を想定して、不確かさを標準偏差として推定します。
個々の不確かさの要因とその大きさを推定し、一覧にした表を不確かさバジェット表と呼びます。その一例を、JIS B 7920(湿度計−試験方法)から引用します。
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相対湿度校正値の不確かさ(校正温度23℃,相対湿度60%)
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| 不確かさ要因 |
標準不確かさ |
変換係数 |
不確かさ成分 ui |
| 露点 |
○○ ℃ |
5.3 %rh/℃ |
… %rh |
| 試験槽温度 |
×× ℃ |
4.9 %rh/℃ |
… %rh |
| 飽和蒸気圧(露点) |
0.3 %(相対値) |
0.6 |
0.18 %rh |
| 飽和蒸気圧(試験槽温度) |
0.3 %(相対値) |
0.6 |
0.18 %rh |
| 湿度計分解能 0.1%rh |
0.03 %rh |
1 |
0.03 %rh |
| 湿度計短期安定性 |
0.* %rh |
1 |
0.* %rh |
| 湿度計再現性 |
0.* %rh |
1 |
0.* %rh |
| 合成標準不確かさ |
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| 拡張不確かさ(k=2) |
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標準偏差であらわしたものを、標準不確かさuiと呼びます。分散の加法性を利用してuiを二乗和し、平方根をとったものを、合成標準不確かさucと呼びます。合成標準不確かさを整数倍したものを拡張不確かさ、その時の倍数を包含係数k、といいます。最終的に対象とする計測値の不確かさを表示するときは、通常、k=2で表した拡張不確かさを用います。各要因の標準不確かさを合成するとき、次元を統一するために、変換係数を掛けたりします。したがって、測定量の定義に対する、物理的あるいは化学的な意味を理解しておかなければなりません。
校正試験においては、不確かさを表示することは、必須となっています。このとき、被校正器の分解能が大きかったり、安定性が悪いと、校正の不確かさは大きくなります。いくら精密な標準器と不確かさの小さい校正システムがあっても、おおざっぱにしか測れない計測器を、小さい不確かさで校正することはできません。
具体的な不確かさの評価については、個別の事例で検討するのが分かりやすいでしょう。不確かさ評価が、一つの論文として公表されるようになってきています。
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